道の先に


「方向性は間違っていない」


「自分なりの道が見えてきた」



そういった言葉から、

確信を持ちつつ転換点になったと思われる四大陸は

心身ともにしっかり戻して望む事ができ、得るものも多かったようで

取り敢えずは何よりだったと思う。



そう。

いつもながら運営サイドに思うところはあるけれど


とにかく本当に良かった。



艱難辛苦を全て力に変え、確実な進化を証明しても尚

彼の見据える先と確たるものは変わらない。


" 羽生結弦 " は 絶対的に在り続けるのだ。




6つの主要国際大会すべて優勝する " スーパースラム " を

男子フィギュアで初めて達成。





羽生さん、おめでとう。

心からの祝福を送ります。





またも重ねられた偉業に各報道とも完全制覇の文字が並び

華々しい紙面いっぱいに紙吹雪が舞っているかのようだ。




「唯一、忘れていたタイトルを手中に収め」とは

スポニチさんのネット記事で目にした表現。


無記名なのでどなたが書いたかのは不明だが

プロとはこういう言葉を持てる事だろう。


不具合のあったリンクとその影響にも言及し、端々に心ある言葉が嬉しい。



「道を進んだ先に、さらなる栄光が待っている」


記事はそう締められていた。







春のような陽気も相まって、温かな気持ちに包まれていた矢先

以前より告知されていた大幅なルール変更の情報が飛び込んできた。


大筋は伝えられていた通りだが、詳細は眩暈がしそうな内容のようだ。



ー フィギュアスケートってなんだろう ー


四大陸で、そう投げかけた彼。



フィギュアスケートを愛する人は今、同じ気持ちではないだろうか。


そのように多くの人が疑念を抱えて観ざるを得ず

選手たちが進むべき方向を見失うような現状では

もはや概念でしかないような気がしてならない。





そしてさりげなく言葉が流れる。



ー  胸を張れる終わり方をしたい  ー






すーっ 、 と

薄刃が心をかすめた。






どのようなスタンスで放たれた言葉であるかはわからない。

しかし、遅かれ早かれその時はやって来る。



心構えをしておくだけの話だ。





自分に言い聞かせながら

言葉を胸の奥に押し込む。





生業の忙しさはひとまず落ち着いたが

描かなければと思うシーンは山積み状態。


トロントは氷点下の最低気温が続くようだ。




心身共に盤石なままワールドを迎えられるよう祈りながら

私も変わらず、ただひたすら描き続けている。