曖昧な数字から漏れ出るもの
Ballade NO.1 2020
厳然とその存在を示したのは
彼が
そして皆が思い描く
" 羽生結弦 "
ただただ素晴らしいとしか言いようのない
崇高な世界が
待っていた時間全てに
途切れることなく繰り広げられた。
そしてのちに
彼の心が少しだけでも休まった事を知り、
やはり少しだけ
私は胸を撫で下ろしたのだった。
ー 点数などどうでもいい ー
正攻法では立ち行かない現実に、腹を据えたのだと感じる彼が得たものは
皮肉にも思える高めの結果。
そしてそこには
歓声がコンマ何秒か遅れるような曖昧な空気が含まれていた。
しばらく待たされたジャッジミーティングでどのような言葉が交わされたのか。
微妙な数字の間から、" 邪推されても結構 " と一部の薄ら笑いが透けて見えるようだ。
僅かに眉根を寄せるブライアン。
わかっていたとでも言いたげに
自分を納得させるかのように
何度も頷く羽生さん。
微妙。
曖昧。
このニュアンスに含まれる闇の深さはいかほどか。
公平に受け止めようと俯瞰しても実質に見合わないこの点数は
万人を惹き付ける研ぎ澄まされた演技から乖離し
澱のように漂っている。
社会とは。
人間とは。
その在り方への問いを投げ付けたい。
ある程度自分も腹を据えたが
綴りたい衝動に駆られ、
描く事に戻れず
立ち止まっている。
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