彼女達のルール



フィギュアの衣装などを手掛ける伊藤聡美さんを追った回で知ったのが

フジのTV番組 「セブンルール」。

 



それ以来 タイトルに興味を持った際は視聴しており  

春先に放送された、過疎化が絡む件については

思うところを書き留めていた。

 

 

他にも記憶に残る回があるので

今に至ってしまったが、綴り直そうと思う。

 

 

 

 

 

 


まずは、先日放送された

レイソン美帆さんの回から触れたい。

 

 

 

高円寺で長く愛されてきた銭湯 ”小杉湯” に

客として嵌っていた銀行員の彼女は、銭湯側から声をかけられ転職し

名物番頭となった。

 

 

 

斜陽と言われて久しい銭湯業界にありながら

こちらでは30人もの従業員が、作業を分担し働く。

 

 

「みんなでお風呂をつくる」と表現した彼女の言葉からは

その銭湯の在り方と、ファンが絶えない現在が伝わってくる。

 

 

 

 

とにかく時間を無駄にしない

苦手じゃないけど敬語を使わない

仕事振りが実に小気味良い

 

そんな彼女。

  

 


― 基本「ありがとう」と「ごめん」とかすごい声に出すようにしてて

悪いなと思ったことは速攻謝るし

ちげーなと思った事とかは、常連でも対応も喋り方も変わんない ―

 

― お客さんはちょっと知らない親戚くらい(の距離感)がいい ―

 

 

 

新しい人が来たら教えてあげるような事が、究極の常連でかっこいいと思うから

 

初めてのお客さんにはごく簡単に利用法を伝え

「わかんなかったら、誰かに聞いて」と言う。

 

 

 

 

 

“コロナちゃん” という呼び方からは

万物に等しく接しているような彼女の姿勢が浮かび上がる。

 

 

そのように何事にもまずフラットであるのは、問題を生み出しにくく

もしくは問題解決の糸口を見つけやすい、大切な事だと思う。

 

 

 

 

小杉湯近くに民泊しながら日本文化を体験できる、訪日外国人に向けたツアーを企画し

その縁からイギリス人の伴侶も得た彼女は

 

奥多摩に物件も探し始めているが

移住後の小杉湯勤めについて、番組では一切触れなかった。

 

 

何らかの意図によるのものか、変わらず勤め続けるから触れなかったのか

全くわからないまま尻切れトンボな印象に終わってしまったのが、残念ではある。

 

 

 

 

 

自分の嗜好から興味を惹かれたのは

 

“ デザインのひきだし ”  編集長 津田淳子さん

辞典編集に携わる 田沢あかねさん

漫画家 米代泰さん、のお三方。

 

 

 

一足の靴だけを6年間履き続けている米代さんは

「買い物は思考を割かなくてもいい部分 」と語り

ひたすら作品に向き合う。

 

 

しかし手入れを怠っていない印象のその靴は

シンプルながらニュアンスあるデザインで

色違いを買い替え続けている手帳は Rollbahn 。

 

思考を最小限に留めた中でも手放さない

センスとこだわりを、それらを含めた各所に感じる。

 

 

 

 

 

デザイン・紙・印刷・加工に携わる人に向け 手掛けている専門誌が

出版不況のご時世に 売り切れ続出となっていた

津田さんも印象深い。

 

 

彼女の紙への惚れこみ具合と気概が如実に表れていたのは

専門分野に向けてこだわり抜いたその表紙で

相当にエンボス好きだったりする自分は思わず見入った。


 

人と言うものは、一度手に取ったら自分のものにせずにはいられないと聞いている。


他に類を見ないそれらの表紙は

確かに誰もが手を伸ばしたくなる魅力に溢れており

売り切れるのも納得がいく。

 

 

  

 

 

1年以上前の回で登場。

辞典編纂の職にある田沢さんは話していた。

 


ー 結構あいまいな定義の『普通』って、割と簡単に使いがちー


「『普通に考えてありえない』みたいなことを言ったりする人もいると思うんですけど

 誰にとっての『普通』とか『一般』とかっていうのは

厳密に考えていかないと、ある意味危険な言葉かもしれない」

 

 

 

私自身、「普通」とか「ちょっと」という言葉の使い方に ずっと思うところがあったので

言葉を職業にしている人もそう思うんだなぁと、心強かったものだ。

 

 

 

― (SNSに関しては)一瞬で広がる影響力があり

見合う言葉を今自分が使えているかといった事を考えるに

個人としては安易に発信できない ―

 

ー 言葉は毒にも薬にもなるすごく強力なもの ―

 

こう語る彼女に、某国のトップはどう返すのか聞いてみたい。

 

 

 

そんななか、映り込んだデスクトップは

演技中のしょーまくん。

 

まっちーとかじゃないんだなぁ。

 

 

 

 

 

COVID-19の波紋により

農業実習生が入国できない問題も派生したこの春、再度放送されたのは

 

オーガニック野菜などを直販するサイトに全力を注ぐ

”食べチョク”代表 秋元里奈さん。

 

 

ー 女子の20代を捨ててでも やりたいと思って ―

そう語り、デジタルを通じて食材を生産者と消費者が個々でやり取りするという

言わば原点回帰への道筋を付ける彼女は

 

2019年、Forbes JAPANが次世代を担う世界の若者30人にも選出された。

 

 



引退後、真央ちゃんが度々していた

ー 農業に関わる活動も視野に入れて ー という話を注視している。




ごく短い間グラフィックデザインの職に就いていた私は、どこか落ち着かない感じがあり

地に足が付いた代表職のような農業への想いを抱いていた。

 

それは、ふわっとした現実逃避でしかなかったと思うが

 

ウイルスの及ぼす状況が酷くなったなら

人手不足に陥っている東京近郊の農家さんの手助けができないものかと


何一つ育てた事がない私の考えは大甘ではあろうが

長く遠回りをして、思いがけずその時が来たのかもしれないと

 

また、違ったアプローチの仕方もあるのかもしれないと考えもした

この春ではあった。

 

 

 

 

秋元さんは生産に携わるのではなく、生産と消費を繋ぐ事で

より困難になっている日本の農作物などに関わる仕事を

望ましい形で継続できるよう日々奔走している。

 

 

有事は様々な形でいきなりやってくると認識を改めた今こそ

皆で農作物の事もしっかり考えなければ

この先は更に心許ない。

 

 

 

 

最後になってしまったが、冒頭で触れたのは

 

買い物弱者である村の高齢者を

一人で背負うかのように働き続ける、東 真央さん。

 

彼女の突き抜けたポジティブさと爽快なパワフルさは

日本が抱える過疎化問題の重さとは、あまりにも相反する感覚があり

世が未曽有の混乱に突入している事さえ忘れて視聴した。

 

 


休む事なく移動販売を続ける 東さんは

村の高齢者達と年齢差を感じさせない軽口を交わしながら

御用聞き的な事も二つ返事で様々に応えている。


ひっきりなしにスマホを手にする彼女がやり取りするのは

スタンプやテキストではなく

全員に電話番号を教えている高齢者達との会話だ。

 



だが、そこに感じられる関係性は尊いものであっても

求められている事がたまたま彼女の性質に嵌った、奇跡的な巡り合わせでしかない。

 

日本各地で解決できないまま

同じように誰かの好意や犠牲の上で何とかやり過ごしているけれど

それがインフラになってはいけないし、容易に他の誰かが引き継げるものでもないから

リミットはすぐ先に見えている。

 

 

原因の一つである過疎地の交通問題が、今後深刻になっていく事は明らかで


都市部ではあったが、皮肉を込めた呼ばれ方も見受けられた高齢者の自動車事故に対し

被害者である奥様とお子さんを亡くされたご家族の動画が報道されたのと同時期に

この回は放送された。


それが局側の意図なのかはわからない。


 

 

 

 

 


各人のルールを明文化するわけだから、当然と言えば当然かもしれないが

この番組は私が見た限り、確たる何かを持った人を取り上げている。

 

 

だが反発を生まないよう気を配ったスタジオの柔らかなコメントは

制作局側の姿勢だろうと思うだけに

同局の諸々は理解しがたいところも多い。

 

 


多様化が叫ばれながら、見えない同調圧力が特に強い日本。

 

老若男女問わず

また、どの界隈でも

 

慣例と違う事をすればハブられたり

イエスマンが上手く地位を保っていくような社会構造は、ずっと変わらない。

 

 

その中で流されない為にも

各人ルールを箇条書きにする事から生きる上での指針が明確になっていき

信条となるのかもしれない。



伝え切れず申し訳ない限りなのだが、どうしても書き加えたいのは

彼女達はそれぞれに見習うべき素晴らしいものを沢山持っているという事だ。



  



 


さて、本題のイラストだが

前作を浴衣に着替えさせてもらった。 

 

 

この浴衣は19歳当時のもので、見覚えがある方も多いのではなかろうか。

 







ブライアンの話から羽生さんは


日本に滞在していたようだ。