行く手を阻まれてはならない


泰然。  



そう表現されたのは、無の境地へ達したような

競技前の落ち着きはらった姿。


109.60を刻んだショートから

フリー212・99、合計322・59でルール変更後の自己ベストを更新したスケートカナダ。


全てが今季最高得点。

嬉しそうな笑顔。 幸せな時。


高揚感のなか、次へと想いを馳せた。 



でも。



語られたのは

苦悩に満ちた そこに到るまでの想い。



正攻法では対処し難い現状にもがきながら

信念で導き出した道にやっと光が差したけれど。




修造さんのインタビューに答える。


「自信になり、生かしていけるはずの相対的な評価が、多分最低限レベル 」




時の流れも容赦はない。




「 何が必要で何が武器なのか 」







羽生結弦。





その人を知るまで、切に願う事など何もなかった。




だが今は彼の望みが

彼の想いが届く事を、ただただ願っている。






それは以前も綴った繰り返しになるが

人としてありたい、比類なき姿に違いないから。




無数の傷を負いつつ、数多の人に手を差し伸べ

共に進もうとするこの崇高な存在が

行く手を阻まれてはならないのだ。